「トビア、お前の子供たちを連れ、メディアの地方に逃れなさい。」トビト記 14:2-9

主に従い立ち去ること

死に臨(のぞ)んで、トビトは息子トビアを呼び、次のように諭して言った。「トビア、お前の子供たちを連れ、メディアの地方に逃れなさい。ナホムが語ったニネベに対する神の警告はきっと実現する。アッシリアとニネベに対しては、すべて言われたとおりになる。神の遣わされたイスラエルの予言者たちが語った事は、ことごとく成就する。神の警告のうち一つとして成就しないものはなく、すべて定められた時に成就する。メディアにいる方が、アッシリアやバビロンにいるよりも安全だ。わたしは確信しているが、神の語られる事はみな成就し、神の言葉は一つとして無駄になることはない。イスラエルの地に住むわたしたちの同胞は一人残らず散らされ、その恵まれた地から捕囚の身となって連れ去られる。イスラエルの地はことごとく荒れ地となり、サマリアもエルサレムも荒れ果ててしまう。神の家も焼き払われ、しばらくは悲しみに包まれる。しかし神は再び彼らを憐れみ、イスラエルの地に連れ帰り、御自分の家を再建される。しかし再建されても、定められた時が来るまでは、元どおりにはならない。その時が来れば、すべての人々は捕囚の地から立ち戻り、エルサレムを輝かしく再建し、イスラエルの予言者たちが語ったように、神の家もエルサレムに再築される。世界のあらゆる国とその人々は主に立ち帰り、心から神をおそれ、偽りをもって彼らを欺(あざむ)き惑わす偶像をすべて捨て去る。そしてとこしえの神を正しくほめたたえる。心から神に従うイスラエルの民は、その日救われてエルサレムに集められ、アブラハムの地でいつまでも住み、平穏無事な生活を送り、その地は彼らのものとなる。神を心から愛する者は喜び、罪を犯し不正を行う者は地のすべての場所から消えうせる。

 さあイスラエルの民よ、あなたがたに命じる。心から神に仕え、神が望まれる事を行いなさい。あなたがたの子供たちがいつも正義を行い、慈善の業に励み、神に従い、どんなときでも力を尽くして心から神の御名をほめたたえるように教えなさい。. (トビト記 14:2-9)

 

主に従い立ち去ること

 

住み慣れた地を離れることは容易なことではありません。しかし、わたしたちのための主のご計画のために、立ち去ることを命じられたら、わたしたちは十分に理解できないときでも、立ち去らなくてはなりません。そして、預言されたことが現実に起こるまでは、命じられた場所に留まらなくてはなりません。神の僕たちの中には、直接に立ち去るようにと命じられた人もいます。トビトは息子トビアに、町の破壊が近いことを理解し、最愛の息子を守るため、立ち去るようにと命じました。アブラハムは、75歳の時に神に会い、主から直接命じられました。『父テラが死んだ時、主はアブラムに命じました。「あなたは、ここを発ちなさい。あなたの親族も住み慣れた地も捨てて出かけるのです。行く先はわたしが教えるから、ただ示されたとおりに進みなさい。そうすれば、あなたを偉大な国民の父にしよう。あなたを祝福し、その名を広めて、だれ一人知らぬ者がないようにしよう。あなたによって、ほかの多くの者も祝福されます。」』(創世記 12:1-2)このことは、アブラハムの神経を張りつめさせ、慣れ親しんだ地を離れることを躊躇う気持ちも彼にはあったはずです。しかし、主の命令に従い、アブラハムはそれゆえに祝福を受け、救われました。ヨセフの場合は、天使が主に代わり命じました。『彼らが帰ったあと、天使が夢でヨセフに現れて言いました。「起きなさい。子どもとその母を連れて、エジプトに逃げるのです。そして、私が帰れと言うまで、ずっとそこにいなさい。ヘロデがこの子を殺そうとしています。」ヨセフは、マリヤと幼子を連れて、その夜のうちにエジプトへ旅立ちました。』(マタイ2:13-14)同じように、多くの人が住み慣れた地を去ることを命じられました。神からの直接の命令による場合もあれば、主が、立ち去らなければならないような状況にご自分の僕を追い込み、移動させる場合もあります。後者は、ちょうどモーセがエジプトを去らなくてはならなかったようにです。そして、神様は、イスラエルの民の救済・出エジプトのために、モーセを荒野に送りご準備なさいました。ペテロは船と網を捨てイエス様に従いました。パウロは、主に導かれると、イエスに従う者たちを迫害していた熱狂団体を捨てました。預言者のほとんどが、天から与えられた使命に答えるため、安定した職を捨てています。わたしたちは、自分たちが現在派遣され、赴任している場所に住むようにと命令じ、道を示してくださった主を讃美しましょう。赴任の理由のすべては主のみがご存知です。そこで、わたしたちは、自分たちが去ったこと、立ち去った場所、立ち去り方、後に残してきたもの、残してきた人びとについて、主を讃美し、主の軍勢として、右、左、右、左、と進軍しましょう。

 

天のお父様、あたなの愛が満ちあふれる中、わたしに立ち去ることを命じてくださり感謝いたします。聖霊様が、わたしが一生涯あなたを信頼し生きることができるようお支え下さいますように。イエス様のもっとも美しいお名前において、アーメン。